茶の伝道師現る
レオGさんは最初からギアの入れ方が違っていた。
挨拶を交わした途端、今まで貯めていた物を吐き出すかのように勢い良く話し始めるレオGさん。とりとめのない話をし続けるレオGさん。この人は相当話好きだ。
しかし、レオGさんの話には相手がいない。話し相手の反応を必要としていないようだった。
つまり、会話のキャッチボールがほとんど出来ない人だった。
例えば、他の人とサッカーの話をしていたとする。するとレオGさんは、なぜか中国の歴史を話し始める。おまえは男塾の民明○房刊の回し者かよ!とツッコミを入れたくなったほどだ。
話の流れなど我関せず、といわんばかりに自分の思いつくまま、好きな話だけをするレオGさん。
正直、シーマンの方がまだ話の流れを掴む努力をしてくれるように思える。
そんなお爺さんが1ヶ月間、ドミトリー部屋に泊まるというのは、想像するだけでワクワクである。同室の人間がどう思うかは、想像にお任せする。
1台湾ドル単位の細かい資産管理をしているレオGさんは、コストカットに余念が無い。そのやり方の一つは、乗り物にはいっさい乗らず、己の健康を一心に信じ通すことである。
例えば、台北駅から土林夜市まで普通に歩く。片道ざっと10キロ。それをレオGさんは当たり前のように往復する。そういった生活を毎日続けるレオGさんの頑強な肉体には、ただただ脱帽である。
ここまでして、ムダ削減に勤しむレオGさんの爪の垢を、某政府に飲ませたい。そう思わせるくらいレオGさんのエコ活動は徹底していた。
レオGさんの最大の趣味は、美味しいお茶を飲むことである。その趣味は日本だけに飽きたらず、齢60にして中国大陸にまで渡ってしまう。美味しいお茶を探し求める姿は、まさにグルメハンターである。
一度、中国の奥地で見つけたお茶を飲ませてもらった時があった。貴重なお茶らしいのだが、グルメハンターではない自分の舌には、そのお茶とほうじ茶の違いがわからなかった。
レオGさんは、1年ほど中国に滞在していたので、中国語がある程度できる・・・らしい。そのせいもあって、ただでさえ日本語で会話が成立していないのに、時々中国語が交ざるから、話がカオス状態になってしまう。
しかし、慣れは恐ろしいもので、最初は出来なかった会話のキャッチボールが、投げる玉を工夫すれば、10のうち4つぐらいは、玉が返ってくるようになっていた。
ここで一つの考えに到達する。レオGさんを日本人と見るのではなく、日本びいきの現地人と思えば、レオGさんに対する目が変わる。
そう考えれば、この歳でこれだけ流暢な日本語を話せる現地人はあまりいない。時々話が噛み合わない程度と思えば、逆になかなか頼もしい人に思えてくる。
また、レオGさんは話が噛み合わないのを我慢すれば、至って優しく穏やかな性格の持ち主だ。
レオGさんからもらった地図がとても役立ったので、今でも感謝している。
若者よりも高齢者を見かけるゲストハウスの光景に慣れた頃、その人はやって来た。
年は60過ぎ、髪は白髪でやや小太り、メガネをかけていて優しそうな印象を与える。この人をレオGさんと呼ぶことにする。口調がやや森本レオのようだからだ。
レオGさんの前にも60歳近い人が泊まったことがあった。その人は海外への渡航歴が多いらしく、色々な国の話をしてくれた。
その人の話の中には、何度も「カンボジア」が挙がる。相当なカンボジアLOVEらしく、特にプノンペンがお気に入りだった。今回、台湾に来たのもカンボジアへの乗り継ぎで訪れたそうだ。
「あそこは天国だよ・・・日本よりも・・・全然安いんだよね…」と柔らかい口調で意味深なことを語り、うっとりとした目であさっての方向を見ている。その目は援助交際にハマっているおっさんと同じ目をしていた。
レオGさんの前にも60歳近い人が泊まったことがあった。その人は海外への渡航歴が多いらしく、色々な国の話をしてくれた。
その人の話の中には、何度も「カンボジア」が挙がる。相当なカンボジアLOVEらしく、特にプノンペンがお気に入りだった。今回、台湾に来たのもカンボジアへの乗り継ぎで訪れたそうだ。
「あそこは天国だよ・・・日本よりも・・・全然安いんだよね…」と柔らかい口調で意味深なことを語り、うっとりとした目であさっての方向を見ている。その目は援助交際にハマっているおっさんと同じ目をしていた。
ーーー 話をレオGさんに戻して ーーー
レオGさんは最初からギアの入れ方が違っていた。
挨拶を交わした途端、今まで貯めていた物を吐き出すかのように勢い良く話し始めるレオGさん。とりとめのない話をし続けるレオGさん。この人は相当話好きだ。
しかし、レオGさんの話には相手がいない。話し相手の反応を必要としていないようだった。
つまり、会話のキャッチボールがほとんど出来ない人だった。
例えば、他の人とサッカーの話をしていたとする。するとレオGさんは、なぜか中国の歴史を話し始める。おまえは男塾の民明○房刊の回し者かよ!とツッコミを入れたくなったほどだ。
話の流れなど我関せず、といわんばかりに自分の思いつくまま、好きな話だけをするレオGさん。
正直、シーマンの方がまだ話の流れを掴む努力をしてくれるように思える。
そんなお爺さんが1ヶ月間、ドミトリー部屋に泊まるというのは、想像するだけでワクワクである。同室の人間がどう思うかは、想像にお任せする。
1台湾ドル単位の細かい資産管理をしているレオGさんは、コストカットに余念が無い。そのやり方の一つは、乗り物にはいっさい乗らず、己の健康を一心に信じ通すことである。
例えば、台北駅から土林夜市まで普通に歩く。片道ざっと10キロ。それをレオGさんは当たり前のように往復する。そういった生活を毎日続けるレオGさんの頑強な肉体には、ただただ脱帽である。
ここまでして、ムダ削減に勤しむレオGさんの爪の垢を、某政府に飲ませたい。そう思わせるくらいレオGさんのエコ活動は徹底していた。
レオGさんの最大の趣味は、美味しいお茶を飲むことである。その趣味は日本だけに飽きたらず、齢60にして中国大陸にまで渡ってしまう。美味しいお茶を探し求める姿は、まさにグルメハンターである。
一度、中国の奥地で見つけたお茶を飲ませてもらった時があった。貴重なお茶らしいのだが、グルメハンターではない自分の舌には、そのお茶とほうじ茶の違いがわからなかった。
レオGさんは、1年ほど中国に滞在していたので、中国語がある程度できる・・・らしい。そのせいもあって、ただでさえ日本語で会話が成立していないのに、時々中国語が交ざるから、話がカオス状態になってしまう。
しかし、慣れは恐ろしいもので、最初は出来なかった会話のキャッチボールが、投げる玉を工夫すれば、10のうち4つぐらいは、玉が返ってくるようになっていた。
ここで一つの考えに到達する。レオGさんを日本人と見るのではなく、日本びいきの現地人と思えば、レオGさんに対する目が変わる。
そう考えれば、この歳でこれだけ流暢な日本語を話せる現地人はあまりいない。時々話が噛み合わない程度と思えば、逆になかなか頼もしい人に思えてくる。
また、レオGさんは話が噛み合わないのを我慢すれば、至って優しく穏やかな性格の持ち主だ。
レオGさんからもらった地図がとても役立ったので、今でも感謝している。
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